心という見えない場所を、のぞいてみませんか(第1話/全6話)

文筆家・心理カウンセラーの大嵜直人氏が、濱﨑かほりについて執筆してくださいました。

「見えない世界」と「心の眼」について語る深い内容となっております。

 

《全6話》

→第1話 「誰かの、役に立ちたい」方々ばかり

→第2話 人には与えられた使命というものが

→第3話 「見える」苦しみ

→第4話 愛の、ものがたり。

→第5話 3日後にこの世を旅立つとしたら

→第6話 ひだまりのようにあたたかな

心という見えない場所を、のぞいてみませんか

~濱﨑かほりさんに聞く「ひだまり処 禅」の世界~

鏡川の陸橋を抜けると、国道56号線はゆるゆると流れていく。

運転席の窓を開けると、爽やかな新緑の風が吹き込んできた。

幾多の偉人を育んできた、高知の風。

車の中を満たしたその雄大な風が、私のこころをそっと撫でてくれた気がした。

 

青看板を過ぎたらファミリーマートの交差点を、左折。

左手に公園が見えたら、また左折。

その道を、何度も濱﨑さんは説明してくださった。

ナビがありますから…そう伝えても、迷ったらいけないですからと何度も伝えてくれるのが、濱﨑さんらしかった。

 

静かな住宅街、店舗の3軒隣の駐車場に車を停める。

「ひだまり処 禅」

濱﨑さんご自身が書かれた看板は、陽光を浴びていた。

「禅」の文字の末尾から伸びたまっすぐな線が、一つの花を描く。

蓮の花。

お釈迦様とも縁の深い、神聖な花。

泥の中から、真っ直ぐに伸びて花を咲かせるその姿。

濱﨑さんの姿、そのものだった。

 

その看板を横目に、インターフォンを押した。

どこか、指先に力が入っている自分がいた。

「はい、お待ちしておりました」

声だけで、もうその人柄がそこかしこににじみ出ていた。

ほどなくして扉が開くと、そこに向日葵が咲いたような気がした。

 

トータルライフカウンセラー、濱﨑かほりさん。

 

どこまでも飾らず、どこまでも正直に、どこまでも愛情深く、どこまでもまっすぐな、濱﨑さん。

その濱﨑さんが、この愛すべき高知で営む「ひだまり処 禅」。

そのことについて、詳しくお話を伺いたいと思った。

それは、人間という存在の素晴らしさを、美しさを、偉大さを、もっと知りたいという欲求に、どこか似ているような気がしていた。

 

「お邪魔します」

 

店舗の中に入ると、あたたかな色味の照明が心地よかった。

案内していただいた椅子に腰かけると、すぐに濱﨑さんはティーカップを2つ持って戻ってきた。

 

「はちみつティーです。お越しいただいた方にも、このお茶をお出ししてリラックスしてもらっているんです」

 

そう言いながら、濱﨑さんは微笑みを浮かべる。

ティーカップの持ち手に指をかけ、ゆっくりと口に含んだ。

はちみつティーのやわらかな香りが、鼻腔を抜けていった。

ほっと一息つく。

それだけで、何かが抜けていったような気がした。

秒針が一回り、二回り。

その静寂に身を浸していた。

 

「それでは、お話を伺ってもよろしいでしょうか」

 

そう言うと、濱﨑さんはもちろんです、とまた微笑んだ。

 

 

「まず、この『ひだまり処 禅』のことから、お伺いさせてください。

遠方からお越しになる方も多いと聞きますが、現在は、どのような方が、この『ひだまり処 禅』にお越しいただいているのでしょうか?

また、どんなことをご提供されておられるのでしょうか?」

 

ティーカップをかたりと置くと、濱﨑さんは語り始めた。

 

「ありがとうございます。

 そうですね…ここに来られる方は、不思議なほどに、口を揃えたかのように同じ事を言われます。

『誰かの、役に立ちたい』方々ばかりです。

これは、示し合わせたかのように、同じことを言われるんです。

疲れている人を癒やしたい、体の不調を整えてあげたい、心が休まる場所がほしい、大切な人に笑顔で幸せになってほしい、愛や温もりを循環させたい!!

そんな想いを持っておられる方が、多くお越しいただいています。

 

そしてありがたいことに、『なんだかここにくるとホッとして、落ち着くんです』と、皆様がそのようにおっしゃってくださいます。

そんな方に出会うたび、心が震えるような感動を、私も覚えるんですよ」