《これまでのお話》
→第1話 「誰かの、役に立ちたい」方々ばかり
→第2話 人には与えられた使命というものが
→第3話 「見える」苦しみ
→第4話 愛の、ものがたり。
→第5話 3日後にこの世を旅立つとしたら
「最初に、この『ひだまり処 禅』を訪れる方は、人の役に立ちたい、という方ばかりだと伺いました。それはやはり、濱﨑さんご自身がそうだからだと感じます」
濱﨑さんは、恥ずかしそうに笑った。
温かな空気が、部屋を満たしたようだった。
「カウンセリング、魂セラピー、過去世セラピー、そしてレイキ。
この『ひだまり処 禅』でご提供されていることは、その方の持っておられる花を、美しく咲かせることをサポートされておられる場所なのですね。
『使命の種が発芽しやすい環境を整える』と最初に伺いましたが、まさにその通りだと感じます。
そして私自身は、見えない世界や第六感といったものに疎いと思っていましたが、少し見方が変わりましたし、すでに見ているのかもしれない、とも感じました。
最後に似たような質問になるかもしれないのですが、濱﨑さんにとって、この『ひだまり処 禅』とは、どんな場所なのでしょうか?」
濱﨑さんは少し首をひねり、天井の方を見上げた。
「温かい、癒しの空間…でしょうか。
そうですね…雪国のカマクラのようなもの、というとわかりやすいでしょうか?
冷たいところから、ほっとするぬくもりの場所。
その中で心と身体を温める、湯治の温泉があるような。
そんな場所ではないかと思っています。
見える世界で、心が疲れてしまったとき。
心という見えない場所を、のぞいてみませんか?
そこには、ひだまりのような温もりが、あなたを待っているようです。
そんなことを想いながら、いつもこの場所を温めているんですよ」
心と身体を温める、癒しの空間。
まさにいま、そんな温かな空気が満ちているのを感じた。
そのやわらかな空気のなかで、濱﨑さんは微笑んでいた。
この微笑みに、この空気に触れたくて。
この場所に、多くの方が訪れているのだろう。
『ひだまり処 禅』。
そこは、見えない世界に触れ、使命という美しい花を咲かせる場所だった。
そして、ひだまりのようにあたたかな、濱﨑かほりさんがいる場所だった。
この場所を訪れる方は、きっとそのあたたかさに触れ、使命という花を咲かせていく。
濱﨑さんは、変わらず微笑んでいる。
[終わり]
最後までお読みいただき、ありがとうございました。